イーロン・マスクが創業したThe Boring CompanyとドバイRTAが進める地下交通プロジェクト「Dubai Loop」が、実際の掘削に向けた準備段階へ進んでいる。
Dubai Media Officeによると、9月末時点でトンネル掘削機の組み立てや、トンネル内部に使うコンクリート製セグメントの製造が進行中。2月の正式契約から、プロジェクトは設計・準備段階を越えて、実装に向けた工程へ入っている。 Government of Dubai Media Office
第1期はDIFC〜Dubai Mall、6.4km・4駅
Dubai Loopの第1期は、DIFCとDubai Mallを結ぶ6.4km、4駅で構成される。
The Boring Companyの発表では、将来的に全長約22.5km、19駅まで拡張し、Dubai World Trade Centre、金融街、Business Bayなどを結ぶ計画だ。
第1期の事業費は約1億5,400万ドル。全体では約5億4,500万ドルが見込まれている。第1期の想定利用者数は1日約1万3,000人。全体完成後は約3万人まで拡大する想定である。 The Boring Company
イーロン・マスクの会社は何をするのか
The Boring Companyは、イーロン・マスクが創業したトンネル・交通インフラ企業。
同社が展開する「Loop」は、地下トンネルの中を電気自動車で移動する交通システムで、米ラスベガスではすでに実用化されている。The Boring Company自身もLoopを「全電動・ゼロエミッションの地下交通システム」と説明している。
Dubai Loopは、その仕組みをドバイの高密度エリアに持ち込むプロジェクトとなる。
メトロのように各駅へ順番に停車するのではなく、乗客を目的地まで直接運ぶことを前提としている点も特徴だ。
すでに「構想」だけではない
今回のニュースで注目したいのは、Dubai Loopが単なる未来構想ではなく、実際の建設準備まで進んでいることだ。The Boring Companyによると、プロジェクトは正式に「Under Contract」とされており、第1期では約2万5,000個のコンクリート製セグメントを使用する計画。トンネル掘削開始に向けて、許認可取得や機材準備も進められている。
Dubai Media Officeも、9月29日時点でトンネル掘削機の組み立てとコンクリートセグメントの製造が並行して進んでいると発表している。
ドバイは「道路を増やす」だけではなくなってきた
ドバイの交通政策を見ると、ここ数年で選択肢が一気に増えている。Metroの拡張、Etihad Rail、自動運転タクシー、そしてDubai Loop。
人口増加に対して道路を増やすだけではなく、地下・鉄道・自動運転を組み合わせて移動手段そのものを増やす方向に動いている。
特にDIFC、Dubai Mall、Business Bay周辺は、日常的に交通量が多いエリアだ。Dubai Loopが実際に機能すれば、単に移動時間が短くなるだけでなく、「駅から目的地までどう移動するか」というラストワンマイルの考え方も変わってくる。
イーロン・マスクの会社とドバイが進めているのは、単なる地下トンネルではない。
人が地上を移動する前提だったドバイの都市設計に、もう一つ地下の移動レイヤーを加えるプロジェクトである。
