UAEの大手デベロッパーEagle Hillsは2026年10月5日、シリア政府とダマスカス、ラタキアの2カ所で大型開発を進める枠組み合意を締結した。計画では住宅・観光・商業機能などを整備し、4万人以上の雇用創出が見込まれている。

注目したいのは、この会社を率いている人物だ。

Eagle Hillsの創業者・会長は、Emaar Propertiesの創業者でもあるMohamed Alabbar氏。ブルジュ・ハリファやドバイモールなど、現在のドバイを象徴する大型開発を率いてきた人物である。

The Nationalによると、今回の合意はダマスカスの「Tadamun Towers」とラタキアの「Eco Life」の2プロジェクトを対象としている。

ダマスカスでは住宅を中心とした開発、ラタキアでは地中海沿岸という立地を生かした住宅・観光開発を進める計画だ。シリア政府側の発表では、両プロジェクトによって4万人以上の雇用が生まれると見込まれている。 

最大180億ドル規模の投資構想

今回の2プロジェクトについて、具体的な投資額や完成時期はまだ公表されていない。 そのため、現時点で「180億ドルのプロジェクトが正式決定した」と捉えるのは正確ではない。
一方、The Nationalによると、Alabbar氏は以前からシリアで最大180億ドルの投資を検討しており、その内訳として沿岸部で50億〜70億ドル、ダマスカスとその周辺で最大110億ドル規模のプロジェクトを想定している。 

さらにUAEのAradaも、シリアで70億ドル規模の複合開発を計画している。

The Nationalによると、こちらはダマスカス西部に約11,000戸の住宅、500室のホテル、1,000戸のサービスアパートメント、学校、病院、オフィス、商業施設などを整備する構想だ。

つまり、UAE企業によるシリア進出は1社だけの動きではなくなりつつある。

なぜこのニュースが面白いのか

シリアでは長年の紛争によって住宅やインフラが大きく損なわれている。
The Nationalによると、同国は2035年までに200万戸の住宅を新設または再建することを目標としている。2024年12月から2026年4月までには、170万人以上のシリア人が帰国したとUNHCRが推計している。

もちろん、政治・治安・制度・資金回収など、新興・復興市場特有のリスクは大きい。今回もまだ枠組み合意の段階であり、建設開始や投資額が確定したわけではない。それでも、ドバイやアブダビで巨大開発を経験してきたUAE企業が、次の成長市場として周辺国へ動いていることは興味深い。

これまでUAEは「世界から投資を集める国」として見られることが多かった。

しかし今後は、UAEで蓄積された資本と都市開発ノウハウを、海外へ輸出する国という側面も強くなっていくかもしれない。
ドバイの次の成長を考えるとき、ドバイの中だけを見るのではなく、UAEの資金が次にどこへ向かっているのか。 そこを見ると、少し違った景色が見えてくる。


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